フランシス・ベイコン
―暴力のただなかで、
絵画の根源的革新へ―
アンドリュー・シンクレア 著
五十嵐賢一 訳
原書: | Andrew Sinclair, “Francis Bacon,His life & Violent Times” 1993, Crown Publishers,Inc. |
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総頁数: | 390頁。掲載図版62。内ベイコンの作品24、ベイコンの伝記的写真38。 A5版、上製 |
発行年月日: | 2005年1月25日 |
ISBN: | 978-4-88303-148-9 |
定価: | 6400円+税 |
解説と著者紹介
著者のアンドリュー・シンクレアは、1935年生まれのイギリスの小説家、歴史家、伝記作家、批評家、映画製作者。これに見るように、活動範囲はきわめて広範で、執筆する著作も多作で、しかもその対象のジャンルも多種多様におよぶ。試みにサイトで彼を検索してみれば、彼の関連の出版物がおよそ80件にも達することが知れる。その数は、たとえばノンフクションだけでも18、フィクションだけでも14あり、そのほか演劇の脚本、映画の脚本、 ギリシャ古典文学の翻訳等、その分野はとどまるところを知らない。そのジャンルのひとつノンフクションをとってみても、ヨーロッパの1940年代の年代記、アメリカ史、アメリカの女性解放運動史、文明や国家や社会の総合的歴史から、サー・ウォルター・ローリー、ディラン・トマス、ジャック・ロンドン、さらにはジョン・フォードやチェ・ゲバラにまでいたる、時空や活動分野や個性を異にする多種多様な個人の肖像にまでおよんでいる。 本書のフランシス・ベイコンの評伝も、たんなる美術批評として捉えられてはいない。生きる時代を同じくし、しかも住まいも同じロンドンのすぐ近所同士で、一時期はその隣に住んだこともあったベイコンの生き様とその芸術とを、ロンドンのみならず、イギリス、ヨーロッパ全体の現代史的、社会史的な立場から読み解く。本書は、親しい友人として日常的に身近に接してその目にしたベイコンの生き方と、ベイコンから親しく聞いた数々の話にもとに、厳密な事実を重んじるノンフクション作家としての詳細な調査と、それを一冊の本に編むフィクション作家の練達の構想力と表現力が合体して生み出した、ベイコンの伝記の極め付きである。