京都のあの橋
ドーラ・ヴァリエ 著
五十嵐賢一 訳
「セリ・イポポタム」叢書
原著: | Dora Vallier : "Ce point-là de Kyôto" L´èchoppe,1991 |
---|---|
総頁数: | 46頁。寸法:A6(10.5cm×14.8cm) |
発行年月日: | 2016年7月1日 |
ISBN: | 978-4-1152-07-9 |
定価: | 800円+税 |
解説
原著は、『アンリ・ルソー』の著者ドーラ・ヴァリエが著した小評論である。
テクストはイタリアローマの新聞「イル・マニフェスト」、1989年8月12日号を初出とする、12頁の豆本("Ce point-là de Kyôto")である。本書の表紙は内容に合わせ、歌川広重描くところの、東海道五十三次の大尾をそのまま用い、そして詳しい訳注を施したものである。
著者は西欧の絵画が自明の理とする「影」と「明暗法(キアロスクーロ)」を土台とするに対し、この広重の版画に影がない点に着目し、考察を広げてゆく。その例証として、清少納言、芭蕉と良寛、『茶の本』の岡倉天心、『葉隠』の山本常朝、『葉隠入門』の三島由紀夫、『古都』の川端康成、『陰翳礼讃』の谷崎潤一郎を引き出し、かたやフランス文学の、『表象の帝国』のロラン・バルト、またゴンクール兄弟、ヴィクトール・セガレンらが登場する。
ちなみに広重の版画の全幅は以下のようになっている(本書の表紙の表と裏である)。