サミュエル・ベケット
― ある伝記 ―
ディアドリィ・ベァ 著
五十嵐賢一 訳
原書: | Deirdre Bair “Samuel Beckett” 1978, Jonathan Cape. |
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総頁数: | 861頁。モノクロによるベケットの伝記的写真23枚掲載。 A5版、上製 |
発行年月日: | 2009年3月31日 |
ISBN: | 978-4-88303-242-6 |
定価: | 8800円+税 |
解説
「『ということは、君は、僕がいかさま師だといって、その化けの皮をひん剥くつもりなんだ』。サミュエル・ベケットは1971年11月17日にパリで私たちが最初に会った際にこう言った。(・・・)『この伝記に関する限り、君は好きなようにしていい。(・・・)ただし僕は邪魔はしないけど、力になってもやれないよ』」。著者のディアドリィ・ベァが単身パリに乗り込んで、セーヌ左岸でベケットに彼の伝記の出版とインタビューを申し込んだ会見で、ベケットは彼女にこう言い放ったという。文学ジャーナリストとしての詳細な事実調査と、的確な視点と鋭い舌鋒と、そして何よりも存命中のベケットと何度も重ねたインタビューとによって、彼の人生と芸術のなまなましい実像をえぐり出す、サミュエル・ベケットの伝記の白眉。その厳しい論調によって、生前のベケット本人には公認されなかった。
著者紹介
アメリカの女性伝記作家。文学ジャーナリスト、大学の比較文学教授としての経歴のかたわら、旺盛な執筆活動を展開。1981年に本書で「ナショナル・ブック・アウォード」賞を受賞。以後、1991年にシモーヌ・ド・ボーヴォワール、95年にアナイス・ニン、2003年にカール・グスタフ・ユングの伝記を出版し、前者2作が同賞にノミネートされる。近年は熟年離婚等、社会問題も論じている。